Q. 遺言書を作成したほうがいいのはどのような場合でしょうか?
A. 法定相続分とは異なる財産配分をしたい時や、相続人間での争いごとを避けたい時、法定相続人以外の、内縁の妻や息子の嫁などに財産を渡したい時、どの財産を誰に渡したいという指定をしたい時などが考えられます。
Q. 遺言はどうやって作ればよいのでしょうか?
A. 遺言をする人の真意を確保するため、遺言には厳格な方式が法定されており、この方式に従わないと遺言としての効力が認められません。せっかく遺言を作っても,方式に従っていなかった場合は,遺言が無効となってしまいます。
また、遺言をするには意思能力が必要とされます。未成年者であっても15歳以上であれば、遺言をすることができますし、成年被後見人であっても、意思能力が回復している時に、医師2名以上の立会いがあれば有効に遺言をすることができます。
なお、遺言書を作成する際は、財産を特定しておくことが重要です。例えば不動産であれば「自宅を相続させる」とするのではなく、不動産登記簿謄本通りの不動産の表示にすべきですし、預貯金についてであれば、支店名や口座番号できちんと特定しておかなければ、後日相続人の間で争いになることがあります。
Q. 夫婦共同で遺言書を作成することはできますか?
A. たとえ夫婦であっても、同一の書面で遺言をすることは法律で禁止されています。万一このような遺言書が作成されたとしてもこの遺言書は無効とされます。
これは、一枚の書面で夫婦共同の遺言をすると、一方の遺言者の意思によって遺言の内容に制約を受けたり、遺言の訂正・撤回・取消し・効力をめぐって紛争を生じ、法律関係の安定を害する恐れがあるからです。
Q. 法定相続分に反する遺言は有効なのですか?
A. 法定相続分に反した遺言も有効です。但し、他の相続人が遺留分を有する場合、遺言によって財産を取得した者に対し、遺留分を返せという請求(遺留分減殺請求)がなされた場合は、遺留分権利者に権利が移ります。
よって、遺留分減殺請求がなされなければ、法定相続分や遺留分を侵害するような遺言に従った財産分配が可能ですし、事前に相続人が裁判所の許可を得て遺留分の放棄を行っていた場合は、遺言どおりの財産分配をすることができます。
Q. 遺言の種類について教えてください。
A. 遺言書には7つの形式がありますが、主に「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つが利用されています。これ以外の4つは、臨終の際に立会人に遺言内容を口述して作成する「一般危急時遺言」や船舶が遭難したときの「難船危急時遺言」、在監者などのため「隔離者遺言」、在船者のための「在船遺言」があります。
Q. 自筆証書遺言について教えてください。
A. 自筆証書遺言は、遺言者が自ら遺言の内容の全文と日付と氏名を自書し、押印することで作成します。代筆やワープロで作成したもの、日付又は署名、押印を欠くものは遺言書としての効力が認められませんので注意が必要です。
いつでも手軽に作成することができ相続人に遺言書の存在を秘密にしておくことができますが、偽造変造される恐れや発見されない可能性があります。また、遺言書としての要件を満たしていないため無効とされたり、解釈をめぐり相続人間で争いになるケースもあります。
なお、この遺言書を発見した者は家庭裁判所での「検認」という手続きを行わなければいけません。
Q. 公正証書遺言について教えてください。
A. 公正証書遺言は、証人2人の立会いのもと、遺言者が公証人に遺言の内容を口頭で述べ、これを公証人が筆記して作成します。
公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されるため、紛失、変造のおそれがなく、また、法律の専門家である公証人が遺言の内容をチェックしますので、内容にも間違いがなく、もっとも安全確実に財産を指定した者に移転させることができる遺言方法だといえます。
ただし、公正証書遺言では、公証役場に出向く必要があり、公正証書作成費用もかかります。また証人が必要となりますので完全に秘密にしたい場合には不向きともいえます。
なお、未成年者や推定相続人等の者は証人になることができません。職務上守秘義務のある司法書士等を証人とすることで、秘密を守ることができます。
Q. 秘密証書遺言について教えてください。
A. 秘密証書遺言は、遺言者が遺言書に署名押印し封印したものを公証人及び証人に提出し、自己の遺言書である旨を宣言し作成します。
秘密証書遺言では、遺言の内容は完全に秘密にすることができ、偽造変造の可能性は低くなりますが、公証役場に出向く必要があり、公証人費用もかかります。また、遺言書自体は公証人が確認しませんので、遺言書の要件不備による無効リスク や、解釈をめぐる相続人間の争いが起こる可能性、証人を手配する手間等を考慮するのであれば、公正証書遺言を作成したほうがよい場合があります。
なお、この遺言書を発見した者は家庭裁判所での「検認」という手続きを行わなければいけません。
Q. 被相続人の手書きによる遺言書を見つけましたが開封してもいいですか?
A. 公正証書遺言以外の遺言書を見つけた場合は、家庭裁判所で遺言書の検認手続き(遺言書の偽造変造を防ぐために、遺言内容を保全する手続き)を申し立てる必要があります。また、封印のある遺言書は家庭裁判所に持参してそこで開封しなければなりません。これらの手続きを行わない場合は5万円以下の過料が課せられることがあります。なお、検認手続きをしなかったとしても、遺言自体が無効となるものではありません。
Q. 一度作成した遺言の内容を変更する場合はどのようにしたらよいのでしょうか?
A. 遺言者は遺言をいつでも遺言の方式に従って変更し、取り消すことができます。この場合相手方の同意は必要ありません。
例えば、内容の異なる新しい遺言書を作成すれば、新しい遺言書により古い遺言は撤回されます。また一度作成した遺言書の内容を取り消すという遺言書を新たに作成することでも、遺言を撤回することができます。
その他、故意に遺言書を破棄することでも、遺言は撤回されたとみなされますし(公正証書遺言は除きます)、遺言により与える予定であった財産を、別の者に与えた場合も遺言のその部分は撤回されたとみなされます。