Q. 商業登記制度とは一体どのようなものですか?
A. 商業登記制度とは、会社法等の法律の規定により定められた登記すべき事項(商号、本店、事業目的、代表者等)を公示するための制度であり、法務局(登記所)において編纂された商業登記簿に登記事項を登記し、その商業登記簿を法務局(登記所)で公開することにより、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全を守り取引を円滑にするための制度です。
Q. 商業登記は何のためにするのでしょうか?
A. 商業登記をすることにより、会社等に対して様々な法的効力が与えられています。例えば、「公示力」というものがあります。これは、登記すべき事項を登記することにより、会社に起こった登記事項に関する変更の事実(代表者交代等)を原則的に第三者に知らしめたことになる効力です。
このように会社等は、様々な法的効力を得るために商業登記をする必要があります。
Q. 商業登記は義務なのでしょうか?
A. 会社法等に規定されている各会社の登記については、定められた期間内に登記をする義務があります。
万が一、登記すべき事項について会社法等の規定に従わず登記を怠ったときは、100万円以下の過料に処せられますのでご注意下さい。
Q. 商業登記簿の内容はどのようにして確認すればよいのでしょうか?
A. 登記簿の内容は、法務局において登記簿謄本を取得するか登記簿を閲覧することにより、誰でも確認することができます。なお、現在大半の法務局では、登記簿がコンピューター化されていますので、登記簿謄本は登記事項証明書と呼ばれ、登記簿の閲覧に代え、登記事項要約書という書面が交付されます。
Q. 商業登記簿謄本の取り方を教えてください。
A. 登記簿謄本は、誰でも『登記印紙』(収入印紙ではありません)で手数料を納付して、会社本店の所在地を管轄する法務局(登記所)で取得でき、商号、本店、事業目的、代表者等取引において重要な登記事項を調べることが可能となっています。最近ではコンピューター化された法務局であれば他の管轄の登記簿も取得できるようになりました。
法務局に行くと所定の用紙が置いてありますので、その用紙に商号および本店の所在等を書き込んだうえで、手数料の登記印紙を貼り付けて証明書の交付を請求します。この際に注意点として、「現在事項証明」、「履歴事項証明」などの証明書の種類があります。「現在事項証明」とは、現に効力を有する登記事項のみを証明した書類であり、「履歴事項証明」とは、現在事項に加えて閉鎖されていない登記事項をすべて証明した書類です。提出先などによりどちらを要求しているのかを確認する必要があります。
手数料は登記簿の謄本・抄本または登記事項証明書一通につき1000円です。
Q. 会社法とはどのような法律ですか?
A. 従前の商法および有限会社法に代わり、平成18年5月1日会社法という新しい法律が施行されました。最低資本金制度、機関設計、合併等の組織再編行為等、会社を規律する制度について全般的に見直しがなされています。
Q. 株式会社ですが、会社法施行に伴う主な変更点は何ですか?
A. 会社法では様々な変更がなされていますが、中小企業の皆様に知って頂きたい主な変更点は以下のとおりです。
1.機関設計(役員構成)の自由化
会社の定款において、役員等の機関設計を複数の形態の中から自由に定めることができるようになりました。
従前の株式会社であっても、定款を変更して取締役を1名にすることもできますし、監査役を置かないことも可能です。ただし、株式の譲渡制限に関する規定を置いている場合に限ります。
なお、取締役会や業務監査権を持つ監査役を置かない会社では、株主の権利が強化されていますので、ご注意下さい。(なお、取締役会を置く場合には取締役3名以上と監査役、又は会計参与1名以上が必要となります。)
2.譲渡制限会社の役員の任期につき、最長「10年」まで伸長可
役員の法定任期は、取締役は「2年」(=2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時。下線部分につき、以下同様とします。)、監査役は「4年」となりますが、株式の譲渡制限を設けている会社については、最長「10年」まで伸長することができます。
例えば、役員の任期を10年に伸長することによって、今まで2年に1回は必ず行っていた「役員の改選に伴う手続(登記手続等)」が10年毎になります。但し、「役員を任期途中で正当な理由なく解任した場合には、残りの任期分の報酬相当額の損害賠償を請求される可能性がある」など、実質的な会社運営に支障をきたす場合も考えられますので、長い任期を定める場合には十分なご注意が必要です。
Q. 有限会社がなくなったというのは、本当ですか?
A. 会社法施行により、有限会社は廃止されて株式会社に一本化されたため、新たに有限会社を作ることはできなくなりましたが、既存の有限会社については、「特例有限会社」として存続が認められています。(存続期間の制限はありません。)「特例有限会社」は、特例的な株式会社の一種であり、「有限会社○○」という商号の株式会社となります。
しかし、そのまま株式会社と全く同じルールで運用される会社とはならず、大部分については従来の有限会社に準じた法規制を受けることになります。
(例えば、特例有限会社は、従前どおり役員の法定任期はなく、決算公告の義務もありません。また、特例有限会社である限り、有限会社を商号として名乗ります。)
株式会社に移行したい場合は、商号変更に関する定款変更決議をして登記申請をすることにより、移行することができます。
Q. 会社法施行に伴って、定款の変更は必要ですか?
A. 会社法施行に伴い、定款の記載内容についても、用語・文言の変更や、会社法施行により新たに定款への記載が必要・可能となった規定等、変更が多数生じております。
ただし、既存の会社については、定款変更の負担を軽減するため、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、自動的に最低限必要な変更をしたものとみなされますので、定款変更は必須ではありませんが、今後の総会等において会社法に対応した定款に変更されることをお勧めします。
Q. 会社法施行に伴って、必要な登記はありますか?
会社法施行に伴い、登記簿の記載事項にも変更が生じていますが、法務局が職権で必要な変更をしますので、通常は登記申請をする必要はありません。
ただし、以下に該当する会社については、所定の期間内に必要応じて変更登記を申請する必要があります。そのまま放置しますと過料(罰金)の対象になりますので、ご注意下さい。
1.資本金が1億円以下で株式の譲渡制限に関する規定を設置していない株式会社
2.確認会社(1円会社)
3.「商法特例法上の大会社」(委員会等設置会社を除く。)又は「みなし大会社」である株式会社
4.委員会等設置会社である株式会社
5.株式の買受け又は消却に関する定款の定め等がある株式会社
6.持分に関して、定款に特別の定めをおき、議決権、利益の配当、残余財産の分配請求について社員ごとに異なる取扱をしている有限会社
Q. 会社の設立の規制が緩和されたと聞きましたが、どのような点が緩和されましたか?
A. 会社法では、最低資本金(株式会社1000万円以上、有限会社300万円以上)規制が撤廃され、資本金1円から会社が設立できるようになりました。また、従来は銀行に発行してもらう必要があった払込金保管証明書の代わりに、発起人代表の個人通帳の写しを証明書の一部として使うことができるようになりました。
Q. 確認会社(1円会社)はどうなったのですか?
A. 前述のとおり、最低資本金制度がなくなり、資本金の規制を受けることなく会社が設立できるようになったことに伴い、既存の確認会社(1円会社)に対する規制(設立後5年以内に最低資本金以上の額に増資しなければならない)も撤廃され、決算書の届出義務等もなくなりました。
しかし、定款及び登記簿に記載されている解散の事由の規定(設立後5年以内に最低資本金以上の額に増資しない場合は解散するという規定)は、会社が任意に設置した規定としてなお有効であるため、既存の確認会社は、会社設立から5年以内に定款変更決議をして解散の事由の抹消登記を申請する必要があります。
Q. 株券がなくなると聞きましたが、本当ですか?
A. 会社法においては、株券は原則として(特に定めを置かない限り)発行しないこととなりました。但し、会社法施行時に株券不発行の定めを置いていない会社については、株券発行の定めを置いているとみなされますので、株券発行を希望しない場合には定款変更が必要となります。
なお、上場会社においては、2009年6月8日までの政令で定める日に一斉に株券が廃止され電子化されることになりますので、お手元に上場会社の株券をお持ちの場合は、証券会社等でお手続きをお済ませください。
Q. 会社の公告方法を電子公告にするには、どうしたらいいですか?
会社の公告方法を電子公告にするには、以下の手続きが必要となります。
1.株主総会において、公告方法変更の定款変更決議をする。
2.公告を掲載するアドレスを決定する。
3.法務局に変更登記を申請する。
4.電子公告調査機関に利用者登録と調査の申込をする。
※ 決算公告では調査依頼の必要はありませんが、一定の公告をする場合は必須となります。
なお、掲載する公告の種類に応じて、掲載継続期間が定められていますので、ご注意下さい。(決算公告に関しては、定時株主総会開催日から5年間掲載を継続する必要があります。)
Q. 類似商号の規制がなくなったそうですが、他社と同じ商号を使ってもいいですか?
A. 会社法においては、同一市区町村内で、商号・目的が同一又は類似の会社を設立することを禁止する規定が削除されました。従って、同一市区町村内に、商号・目的が同一又は類似の会社が存在する場合であっても登記手続上は、新たに会社を設立し登記をすることが可能となります。
ただし、本店所在地にかかわらず、不正の目的で他の会社と誤認されるおそれのある商号を用いることは、不正競争防止法という法律により禁止されています。
実際には、他社と同一・類似の商号の使用は避けるのが賢明です。
Q. 合同会社というのは、どんな会社ですか?
A. 合同会社は、会社法によって新しく認められた会社形態です。
株式会社と違い、会社の運営方法や配当金の分配方法などを自由に定めることができ、法人が業務執行社員になることもできます。また、役員の法定任期がなく、決算公告の義務もありません。